アクリルとは
「アクリル」とは一般的な呼称であり、略号は「PMMA」正式名称としては「ポリメチルメタクリレート樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)」という名前です。アクリル樹脂はプラスチックの一種で、熱可塑性樹脂に分類されています。
プラスチックの中でも抜群の透明性と耐候性を持ち、加工性や発色性、環境適正にも優れていることから、レンズ、装飾、水族館、インテリア、ディスプレイなど、私たちの生活の様々な物に使われています。
アクリル板の特徴
美しい透明感
光線透過率93%はガラス(92%)を凌ぎます。上質な質感から「プラスチックの女王」と呼ばれています。
加工の自由度
切断、穴あけ、曲げ、接着など、また彫刻や印刷加工などもでき、多種多様な製品に使用されています。
高い耐候性
太陽光や風雨・雪などの気象条件にも優れた耐候性を発揮し、看板や建築材料に適します。
耐衝撃性に優れる
万一破損しても、ガラスのように大きく破片が飛び散ることはありません。
耐久性 | 屋外で使用しても特に問題ありません。透明度や強度の低下は極めて低い素材です。着色アクリルは一部退色するものもあります。 |
耐衝撃性 | アクリルの表面の固さは、ほぼアルミニウムと同じです。強度はガラスが1に対してアクリル板はその約10~16倍あります。 |
電気絶縁性 | 自転車のランプレンズ、電飾看板カバーなどに使用され、高電圧にも耐えることができます。 |
耐熱性 | 使用温度は-40℃~+65℃です。高温になると変形する性質です。 |
燃焼性 | 木材とほぼ同程度です。着火するとそのまま燃え続けます。炎や高温源には近付けないで下さい。 |
耐薬品性 | 薬品に弱い。溶剤や薬剤でクラック(ひび割れ)が生じやすい。 |
アクリル板の種類
アクリル板は大きく分けて、「押出(おしだし)」と「キャスト」という2種類に分けられます。
同じように見えますが、製造工程に違いがあり、それぞれ違った特徴があります。
押出板
溶かして粘土状になった素材をローラーから押し出して製造する板のことです。
硬度 | やや低い(温度や環境の影響により、反りが出やすい) |
加工 | 穴あけ、切削、折り曲げ等に適する(過熱部分が融けるため高速切削加工に向かない) |
接着 | 溶剤接着との相性が良い(溶剤に溶けやすいためケースなどの接着加工に適している) |
耐薬品 | 弱い(溶液や薬品でクラック(ヒビ)が入り易い) |
板厚精度 | 板の厚みが比較的一定である |
板厚 | 厚さは最大で20mmまで |
色板の種類 | 少ない |
価格 | 安価である(大量生産が出来るので低コストで製造できるため) |
活用例 | 看板・ケース・テーブルマット・ディスプレイ用品・その他一般加工品 |
キャスト板
2枚のガラスの間にアクリル原材料を注入し、硬化させて製造する板のことです。
硬度 | 押出と比べると高い(反り難い) |
加工 | レーザー彫刻や切削加工などの機械加工に適している |
接着 | 重合接着との相性が良い(溶剤接着に時間が掛かり接着強度も低い) |
板厚精度 | 低い(製法上板の厚み公差が大きい) |
板厚 | 厚物可能(100mmまで) |
サイズ | 大判サイズ種類多い |
色板の種類 | 多い |
価格 | 高価である(作業の工程が多いため) |
活用例 | 大判サイズや厚みのある加工品・屋外看板など |